古い仕事を思い出した
底のない水面から
暗い水を掬う
澱がたまったら
少し揺する
そのようにして
眠らない海を育てた
隣り合う墓に
並んで休む
雨粒が増殖して
しきりに蠢いている
たぶん
夜に埋めるための子供
(その胎動)
完璧に切り離された島の岸では、
隙間なく
さびしい動物が佇んでいる
どんな港も
渡って行けないのなら
白磁の少女を小舟へと乗せる
繋いだ手から
こわばりが微かに伝わる
育てている姉妹の
名前をわすれた