透明な、なにもないような、あなたの世界には、翅のある、いきものがいて、待つことがとくいだから、装いを、やわらかくしている、そばにいたい、と、ぼくは云った、...
もしもね、わたしが犬になっても愛していてほしいの、もうすぐわたし、意識があたらしいおもさをつつんで、ちょうど一匹の犬みたいになるの。
犬みたい...
なんてうららかな春の日に
何億光年の宇宙にたたずむ
小さな星のおもてがぴくりと揺らげば
僕たちは死なないはずが...
一 あさましき世界
泣いてはいけない。泣くのは今の生活を嫌がっているからだ。笑ってはいけない。笑うのは昔の生活を懐かしんでいるからだ...
どこにもゆかれないあたたかさのなか手向ける窓の向こうのひとびとへ身じろぎもせぬまなこ
...
古い仕事を思い出した
底のない水面から
暗い水を掬う